猫エイズの感染は検査キットによる抗体検査で診断することができる

検査キットによる猫エイズ感染の検査

検査キットによる猫エイズの検査

動物病院で猫エイズに感染しているかどうかを検査する時には、通常検査キットで血中の抗体を調べる方法が取られます。検査キットによる検査は5分~10分程度で結果がでる簡易なものですが、猫エイズだけではなく、猫白血病ウイルスの抗原も同時に調べることができます。

ただし、検査キットはウイルスに対する抗体を検出するものであって、ウイルスそのものを検出するわけではありません。したがって、検査キットの検査だけでは正確な診断を得られないケースもあります。


検査キットでは診断できないケース

検査キットでの検査では、猫エイズに感染しているかどうかを確実に診断できないケースには、以下のようなものがあります。

(1)移行抗体
生後6ヶ月齢までの子猫が感染しているかどうかは、検査キットによる検査だけではわかりません。陽性の反応が出た場合には、6ヵ月後に改めて検査する必要があります。生後6ヶ月未満の子猫は、母猫からの移行抗体を持っていることがあり、検査キットだけの検査では、実際に感染しているのかどうかを判別することができないからです。ですから、生後2ヶ月で検査キットによる検査を行い、陽性の判定が出た場合には、生後8カ月以降、再度検査キットでの検査を行う必要があります。それでもなお陽性であれば、猫エイズに感染しているということになります。(⇒子猫の感染と検査)

(2)ワクチンを接種している場合
検査キットによる検査では、ワクチンによる抗体なのか、実際に感染していることによって産出された抗体なのかを判別することが出来ません。猫を保護するなどして、動物病院で検査キットによる検査を行った場合、陽性という結果が出たとしても、それがワクチン接種による抗体反応なのか、実際に感染しているのかどうかを判別できないため、猫エイズに感染しているという誤診を招くことがあります。

(3)感染直後
猫エイズに感染している猫と咬み合いの喧嘩をし、その場で感染したとしても、感染してから抗体が陽転するまでには約1ヶ月かかります。陽転するまでの1ヶ月の間に検査キットで検査をしても、結果は陰性ということになってしまいます。したがって、検査は感染が疑われてから1ヶ月後、できれば2ヶ月以降の検査でなければ、正しい診断を下すことはできません。


検査キットとPCR抗原検査の違い 

検査キットだけで正確な診断が出せないという場合には、あまり一般的ではありませんが、PCR抗原検査を受ける必要があります。PCR抗原検査とは「ポリメラーゼ連鎖反応(PCR = Polymerase Chain Reaction)」という検査方法で、検査キットによる一般的な抗体検査とは異なり、ウィルスそのものを調べるため、正確な診断を下すことができるのです。

ただしこの検査では、血液を1cc〜2cc採取しなくてはならないため、猫にストレスを与えたり、貧血になったりする可能性があります。したがって、6ヶ月齢以下の子猫の場合には、通常、検査キットでの検査が行われます。PCR抗原検査は検査センサーに血液を送って検査をするため、5分から10分で結果が出る検査キットとは異なり、1ヶ月程度の時間が必要となります



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