猫エイズの感染・症状・治療方法・ワクチンなどについての基本的な知識と情報

猫エイズの豆知識

猫エイズについての基礎知識

猫エイズとは、ネコ免疫不全ウイルス(feline munodeficiency virus)に感染することで引き起される病気です。ネコ免疫不全ウイルスは、猫の体内に侵入してくる病原菌やウイルスなどをやっつける「T細胞」(細胞性免疫)というリンパ球を攻撃して、やがて減少、消失させてしまいます。そのため、次第に免疫機能が低下し、口内炎や鼻水、貧血、くしゃみ、下痢、微熱、リンパ腫瘍などの悪性腫瘍など、さまざまな症状が現れるようになります。

ただし、ウィルス自体の感染力は弱いため、猫同士で舐めあったり、出産や交尾、授乳などによって感染するということはほとんどないとされています。空気感染もありません。感染ルートで最も多いのは猫同士の激しいケンカで、ケンカによってできた咬み傷の中に、唾液中にあるウィルスが侵入することで感染してしまうのです。


適切な治療で延命

猫エイズウイルスに感染した猫は「急性期」「無症状キャリア(潜伏期)」を経て「エイズ発症期」を迎えます。無症状キャリア期からエイズ発症期までの間に、いくつかの特徴的な症状がみられることがありますが、それらの症状はエイズ関連症候群と呼ばれ、エイズの発症とは区別されています。多くのエイズ関連症候群は、その都度適切な治療を行うことで症状を抑えることが可能になります。

誤解されていることが多いのですが、感染した全ての猫がエイズを発症するというわけではありません。猫エイズの発症とは、後発性免疫不全症候群に陥った状態のことを示しており、実際に感染してから発症するまでには4~5年、もしくは10年以上という長い期間がかかるのです。


猫エイズ感染のリスク

日本はエイズウイルスの世界一の汚染国とされています。その原因としては、猫エイズに感染している猫の放棄や、野良猫の密集による感染などが考えられます。外にいる猫の約12%が感染しているという状況を作ってしまったのは、他ならない無責任な人間なのです。

感染の被害をさらに拡げないためには、ケンカなどによってウイルスが広がらないよう、避妊・去勢手術を行うこと、さらには室内飼いの徹底が望まれます。猫エイズに感染していない猫であれば、外に出さないということが感染のリスクをなくすもっとも有効な方法となります。すでに感染している猫は、他の猫への感染を防ぐためにも、完全室内飼いを徹底するようにしましょう。


あきらめないこと

感染していることがわかっても、あきらめてはいけません。猫エイズに感染していると診断されてから、安楽死も含め、およそ一年以内に死亡する猫は約20%で、それ以降については、感染している猫と感染していない猫との生存率に大きな差は見られないという、フロリダ大学の研究報告もあります。環境を整え、適切な治療を行ってゆけば、延命をはかることは十分に可能なのです。

また、「ネコ免疫不全ウイルス」は、人間のエイズ(後天性免疫不全症候群)の原因となるウイルスである「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)」と近縁関係にあるウイルスですが、猫にしか感染しない猫固有のウイルスですから、人に感染する心配はまったくありません。



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